余命1ヶ月

⑥  9月17日 退院にあたり、DRより病状の説明があった。

 現時点で顕著なのは、体内のたんぱく質の低下。老衰に近い状態で、余命は1ヵ月程度、今後は高濃度点滴で改善を目指すしかない、というものであった。

 DRの診断は、おとうの予想よりはるかに厳しいものであった。

 しかし、チャーリーは、これまで何度も医師も驚く程の回復をしてきた。おとうは、高濃度点滴によって奇跡的に体力が戻り、抗がん剤を再開できることだってある、と自分にいいきかせた。

 チャーリーには、希望のある話しかしないことにした。病室に戻ると、チャーリーが「先生はどう言ってた」ときいてきた。

 おとうは、高濃度点滴の効果は人によって違うこと、退院してもいつでもまた診てもらえること、そんな話やったよ、と話しておいた。チャーリーは素直な性格で、いつもおとうの言うことを信用してくれていた。